筋再教育とは、いままでうまく使えていなかった筋肉を意識的にうまく使えるようにする事を意味します。ここでは筋再教育と併せ、更に筋肉を強くする筋力強化の方法を説明します。
スキャプション トレーニング・・・聞き慣れない言葉です。日本語にするとすれば、肩甲骨面挙上のトレーニング、何れにせよ聞き慣れない言葉ですね。ただ、これを継続して行う事でインピンジメントを起こしている関節内部を強くする事が可能です。
方法として、ゴムバンドまたはチューブを用いる方法と、ダンベルを用いる方法をご紹介します。水を入れたペットボトル等で代用も可能です。広い場所も必要ありません。
ゴムチューブを持ち、腕を斜め45°程度まで挙げる。
注意点1 三角筋のトレーニング効果が高くなりすぎないように、腕を挙げすぎない。
注意点2 真横に挙げないで30〜45°前方に挙げることで、肩甲骨の面(スキャプラプレーン)に沿った挙げ方となり、肩へのストレスが軽減する。
親指が下を向いた状態(サムダウン)を基本としますが、親指が上を向いた状態(サムアップ)でも行うと効果的です。
サムダウン(親指が下向き)
サムアップ(親指が上向き)
スキャプション チューブのバリエーションです。
ゴムを上腕に巻いて行うことで、より近位(プロキシマル)に抵抗を加えることができます。
強さの同じチューブでも、手で持つよりも強度が弱くなるため、チューブの強度が強いものしかない場合などに実施すると良いでしょう。
より上腕に巻いても良い。
スキャプションをダンベルで行う方法です。
チューブと同様にサムダウン、サムアップのポジションで行いましょう。注意点もチューブと同様です。
サムアップ(親指が上向き)
サムダウン(親指が下向き)
主に内部の細かい筋肉を鍛えるための運動ですから、汗をかいたり、息が上がるような激しいトレーニングではありません。だからこそ、自宅で根気強く、少しづつ毎日行ってほしいのです。肩痛を抱えるプレーヤーには特に是非とも行って欲しいトレーニングです。継続は力なり。週末に向けて、しっかりコンディションを整えましょう!
前回に引き続き、筋再教育と筋力強化の方法をご紹介します。
今回のテーマはエクスターナルローテーション、訳すと肩関節の外旋筋群の強化です。ちなみに次回は、インターナルローテーション=内旋筋群の筋力強化がテーマです。
いずれも、肩関節をスムーズに動かす為に必要な筋肉であり、ケガを防ぐ観点においても、日頃から行うべきトレーニングです。
今回も、チューブで行う場合と、ダンベル(もしくはペットボトル)で行う場合で解説してあります。
なお、ファーストポジション・セカンドポジションという言葉が出てきますが、これは運動する際の体に対する腕の位置と考えてください。腕を下ろした状態(外転0度)がファーストポジション、腕を水平に上げた状態がセカンドポジション(外転90度)です。
ファーストポジションで、チューブを用いて行う肩関節外旋筋群(棘下筋,小円筋)の筋力強化です。
脇を開かないようにして、上腕がその場で回旋する動作となるように行います。チューブに対して身体を平行とするか(写真上)、あるいは直角とするかで(写真下)、負荷のかかる関節角度に変化をつけます。前者は中間で最も負荷がかかり、後者は最大外旋位(フィニッシュポジション)で最も負荷がかかります。
チューブに対して平行
チューブに対して直角
ファーストポジションで、ダンベルを用いて行う肩関節外旋筋群(棘下筋,小円筋)の筋力強化です。
脇を開かないようにして、上腕がその場で回旋する動作となるように行いましょう。
セカンドポジションで、チューブを用いて行う肩関節外旋筋群(棘下筋,小円筋)の筋力強化です。
上腕がその場で回旋する動作となるように行いましょう。
セカンドポジションで、ダンベルを用いて行う肩関節外旋筋群(棘下筋,小円筋)の筋力強化です。
写真上では、腕を倒したところで最も負荷が加わり、写真下では最大外旋位(フィニッシュポジション)で最も負荷が加わります。
腕を倒したとき最も負荷が加わる
最大外旋位で最も負荷が加わる
セカンドポジションで、チューブを用いて行う肩関節外旋筋群(棘下筋,小円筋)の筋力強化です。
背中を丸めながら腕を倒し(写真左)、胸を張りながら腕を後方に捻ることで(写真右)、胸椎(胸の部分の背骨)との連動を意識します。
実動作では胸椎と肩甲骨、上腕骨は連動することが多いです。このエクササイズではより実践的な動作の中で外旋筋群の強化が図れるため、野球にはより効果的なやり方といえます。
野球という競技はこの肩関節を特に酷使するスポーツです。草野球・少年野球を長く楽しむためには、肩のケアが非常に重要であることは言うまでもありません。筋トレを行うと、ついつい外側の筋肉、大胸筋や広背筋を大きくして逆三角形のマッチョボディを目指しがちですが、野球選手全員がマッチョではありませんよね。まず関節内部の強化です。これが先決です。遠くに、早い球を投げるには強い関節が必要なのです!がんばれ!草野球オヤジ、少年野球キッズ!
筋再教育・強化の最終回です。用語は難解ですが、簡単にできるトレーニングです。ぜひご一読を!!
といった、細かいけれど重要な筋群の強化です。
前回、前々回のメニューとあわせて地道に行うことで、肩関節の動きがスムーズになり、ケガを防止しつつ、
かついい投球ができるようになります。草野球・少年野球で周りに差をつける、効果的なトレーニング部位と言えるでしょう。
ファーストポジションで、チューブを用いて行う肩関節内旋筋群(特に肩甲下筋)の筋力強化です。
脇を開かないようにして、上腕がその場で回旋する動作となるように行います。チューブに対する身体の角度を変えることで、最も負荷のかかる関節角度に変化がつきます。
写真上は中間位で最も負荷がかかり、写真下では最大外旋位(スタートポジション)で最も負荷がかかります。
チューブに対して平行
チューブに対して直角
ファーストポジションで、ダンベルを用いて行う肩関節内旋筋群(特に肩甲下筋)の筋力強化です。
脇を開かないようにして、上腕がその場で回旋する動作となるように行いましょう。
セカンドポジションで、チューブを用いて行う肩関節外旋筋群(棘下筋,小円筋)の筋力強化です。
上腕がその場で回旋する動作となるように行いましょう。
肩関節前方脱臼の経験や、元々肩関節が緩い人は、スタートポジションで腕を後ろに捻りすぎないようにしましょう。
肩関節内転筋群の筋力強化です。
脇の下のボールや座布団、バスタオルを巻いた物などを挟んで押しつぶします。
肩甲骨を動かす前鋸筋の筋力強化を四つ這いで行うエクササイズです。
背中全体を丸めながら、床を押すように腕を突き出します。
肩甲骨を動かす前鋸筋の筋力強化を、立位で壁に手をついて行うエクササイズです。
背中全体を丸めながら、壁を押すように腕を突き出します。
強度が低いため、片手で行ってもよいです。(写真下)
両手で行う場合
片手で行う場合
肩甲骨を動かす前鋸筋の筋力強化を、腕立て伏せと組み合わせて行うエクササイズです。
腕立て伏せを行い、フィニッシュポジションからさらに背中全体を丸め、床を押すように腕を突き出します。
強度が高い場合は、両膝を立てて行いましょう(写真下)
強度が強い場合は、両膝を立てて行う
肩甲骨を動かす前鋸筋の筋力強化を、ダンベルやチューブを用いて行うエクササイズです。
ダンベルを用いる場合は床に仰向けになり、片手に持ったダンベルを上方に突き上げます。(写真上)
チューブを用いる場合はチューブを肩に回し背中全体を丸めながら両腕を前方に突き出します。(写真下)
ダンベルを用いる場合
チューブを用いる場合